病院概要
院内の組織および各部・科紹介
放射線科
概要
和歌山病院放射線科は、呼吸器疾患、神経系疾患、胸部・血管外科が関わる疾患、並びに重症心身障害の診療に対して、X線、ガンマ線、電子線といった放射線を利用して画像診断と放射線治療の診療を行っています。CT検査では、呼吸器疾患や心臓・大血管疾患、脳疾患をはじめ腹部領域、整形外科領域の疾患に対して、X線CT装置で撮影して体の断面を画像化して診断します。画像診断に用いる画像の画質は高く維持しながら、低線量で被ばくを抑えた撮影をしています。
核医学検査(RI検査)では、臓器・組織の代謝や機能を利用して画像診断の検査目的に合わせて製造した放射性医薬品を注射して、がん転移の有無を見る全身骨のスクリーニング検査、脳梗塞の脳血流状態やパーキンソン病などの脳神経疾患の診断に有効な画像診断を行います。
放射線治療は、外科手術、薬物療法に並ぶがんの治療法のひとつです。高エネルギー放射線発生装置で発生させた高いエネルギーのX線や電子線を悪性腫瘍に照射して治療を行うもので、体を切らずに治療するので臓器・組織の機能と形態の温存が可能です。治療に必要な放射線の処方線量を腫瘍の存在する位置に精度よく照射するために、当院の放射線治療品質管理士が装置の品質管理を日々行っています。当院は和歌山県紀中地区で、放射線治療装置を所有している唯一の医療施設です。
乳房撮影検査は乳がんの画像診断として乳房のX線撮影(マンモグラフィ)を行うものです。マンモグラフィ撮影は乳房専用の撮影装置で行われます。当院のマンモグラフィ撮影装置は、日本乳がん検診精度管理中央機構が認定した設備を備えており、マンモグラフィ撮影は講習を終了した診療放射線技師が担当しています。
検診業務について
肺がんの早期発見を目的としたCT検査による肺がん検診を行っています。肺がん検診のCT胸部撮影検査では、肺がんの画像検出能を損なわない程度にCT装置のX線量を低線量にしてX線被ばくを低減しています。マンモグラフィ撮影による乳がん検診を行っています。御坊市、美浜町、近隣地域の自治体が発行する乳がん検診受診券を受け取られた方をはじめ乳がん検診を希望される方の検診を受け付けます。当院は乳がん検診受託個別医療機関となっています。
当院の診療放射線技師が所有する資格・認定
乳がん検診マンモグラフィ認定技師 | 3名 |
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放射線治療品質管理士 | 2名 |
放射線治療専門放射線技師 | 2名 |
X線CT認定技師 | 1名 |
第1種放射線取扱主任者 | 1名 |
マンモグラフィ(乳房エックス線写真)検診施設画像認定 | 取得 |
放射線装置の紹介
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《X線撮影装置・DRシステム》
フラットパネルディテクタ(FPD)を搭載したデジタルX線撮影装置です。
検査目的に応じて胸部や腹部、骨など様々な部位を撮影します。
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《乳房X線撮影装置》
FPD搭載の乳房X線撮影装置(フジフィルムメディカルAMULET Innovality)で、トモシンセシス撮影が可能です。
以前の装置よりもX線の撮影線量を低減しつつより高精細な画像の提供が可能となりました。
当院は日本乳がん検診精度管理中央機構が認定する検診施設であり、機構が認定する診療放射線技師が担当しますので安心して検査を受けて頂けます。
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《CT装置》
CT装置(キヤノンAquilion PRIME)は、80列のマルチディテクタCT装置で単純・造影CT画像を高速かつ高分解能で撮影します。 放射線被ばくの低減を図るため低線量で撮影することが可能です。
撮影画像解析装置(フジフイルムメディカルVINCENT)を用いてCT画像のデータから3次元画像や画像解析画像を作成できます。
肺がん検診CTにおいては、胸部X線写真による検診と比較して肺全体を連続的に撮影できるのでより小さくより早い時期の病気を発見することができます。
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《X線TV装置》
FPD搭載型デジタルX線透視撮影装置(キヤノンメディカルZEXIRA)は X線透視下での内視鏡検査をはじめ、胸腔ドレナージ、胃管チューブの挿入、嚥下造影検査なども行います。
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《RI装置》
ガンマ線を出す性質を持っている放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)をごく微量目印としてつけた医薬品を体内に投与すると、脳組織、心臓、骨など特定の臓器や組織に取り込まれてガンマ線を出します。体内から出てくるガンマ線を検出する装置をガンマカメラと言います。当院のRI装置(シーメンスSymbia-S)はガンマカメラを2個搭載した装置で、脳血流シンチグラフィ、心筋シンチグラフィ、骨シンチグラフィなどの診断画像を撮像します。
「骨シンチ」では全身の骨病変が一回の検査で検索でき、SPECT(断層)画像やMIP画像を作成し、重なった部分の診断もしやすくなります。「脳血流シンチ」「ドパミントランスポーターシンチ」では、認知症やパーキンソン症候群およびレビー小体型認知症の診断等に有用です。さらに乳がん治療のセンチネルリンパ節生検のために「センチネルリンパ節シンチ」も実施しています。
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《放射線治療装置》
放射線治療装置(バリアンCLINAC iX)は、高エネルギーのX線、電子線を直線加速器で発生させて高精度に照射する装置です。マルチリーフコリメータ(MLC)によって照射範囲と放射線強度を高精度に制御できます。オンボードイメージャ(OBI)によってコーンビームCT画像が撮影できるのでより正確に照射位置の照合が可能です。放射線治療計画は、CT画像データをもとに放射線治療計画装置(バリアンECLIPSE)を用いて,悪性腫瘍と正常組織に対して最適な線量と照射野を設定します。放射線治療装置の品質管理に努め、治療効果の高い放射線治療を日々実施しています。
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《画像管理システム》
当院の放射線診療における画像情報は、すべて院内の画像管理システム(フジフイルムメディカルSYNAPSE)でデジタル保管管理されており、個人情報保護に基づく情報管理によって万全を期したセキュリティ体制を取って診療の要求に応えています。
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治療用照射装置出力線量の第三者機関による測定評価を受けました。
当院は公益財団法人医用原子力技術振興財団による「治療用照射装置(X線)の出力線量の測定評価」を受け、照射装置の出力線量は許容範囲内であることが認められました。
- マンモグラフィ検診施設として認定を受けました。
当院は特定非営利活動法人日本乳がん検診精度管理中央機構による審査の結果、 検診精度管理の線量・画質基準を満たすマンモグラフィ検診施設として認定を受けました。